
くすのき

僕らの高校の正門には、大きな大きなくすのきが自生している。そ のくすのきの下で、5人の人生は複雑に交わる。
そして、僕らは、あの地震の日、1つの奇跡に遭遇する。
緑の季節、初めてのときめき。 ラグビー部1年生の高田と沙織は、秋の文化祭でふとしたことがきっかけで出会う。
くすのきの下。5人の高校生たちの思いが複雑に交わる。
当然のごとく彼は、パソコンとインターネットの世界に埋没するようになっていった。池内にはゲームよりも、プログラミングで様々な仕掛けをWEBサイトに作っていくことの方が興味がもてた・・
文化祭の実行委員を務める中で、不意に訪れた危機。そこで起こる衝突。15年後の今も耳に残る、くすのきの笑い声。あの夏の夜の出来事が蘇る。
翌日の12時過ぎに沙織は同じ学校の子と思われる女子2名とともに、西校舎の前、ラグビー部の小さなカフェスペースにやってくる。高田はまだタッチフットのお供をしていて、沙織たちはそのグラウンドを見やる。そして、沙織は高田の方を指差し、他の子たちと何かを話す。
高校生になった池内は、過去の挫折と孤独を抱えたまま、文化祭でかつての恋心の対象・沙織と別の男子の親密な姿を目撃。絶望に駆られ、自身の存在意義を見失い、屋上から飛び降りることを決意する。
封筒の中には、200万円の現金と、手書きの手紙が2つ入っていた。1つはその筆跡は明らかに女性のものだった。ぜひ高校の駅伝部で使ってほしいこと、勉強についてはきっとしっかり親が面倒を見ること、先生にご迷惑はお掛けしません、というようなことと名前が書いてあった。
彼にあった能力は、特殊で、特別で、最高のものだった。誰もが得たいと思い、得ることのできない能力だった。
しかし、その能力を元々持っていない人は幸せだった。
月曜日の新聞の地方欄の隅に、益岡の母校での自殺の記事が載っていた。彼の妻がそれを見つけ、彼に見せてくれた。彼はその記事を横目で見ながら、母校の文化祭の校門の映った写真を見た。
10年前の夏。彼は親友を裏切った。 武井が益岡に見せた領収書のうち、30万円程度は、彼が自分のために使ったものだった。ゲーム、ゲーム機、服、そしてPCやそれに付属するものなど・・・