40歳のラブレター 手紙(3)
- いのきち
- 2024年12月20日
- 読了時間: 3分
更新日:2024年12月23日

少し間が開きました。小さな会社というのは、突発的なことがあると、なんでも自分でやらないといけないのです。ですので、今回はごく手短に。
練習場へのドライブといえば、今でも春になるとあの電波塔の見える街道を、窓全開でタバコふかしながら走りたくなります。(タバコはやめましたが)
知っての通り、僕は始めは、あなたたちの同期のAさんに好意を寄せていました。どうしてそう思ったのか、今となってはあまりはっきりとしたことは言えないのですが、要は顔が可愛かった、雰囲気が良かった、ちょっと謎めいた感じが良かったというところでしょう。それについては、あなたも知っていて、でもそのことについてはあまり触れないでいたように思います。僕もあなたも。 でも、彼女は僕が連れてきた高校のラグビー部の後輩のBと付き合うことになって、あっさりと僕はフラれてしまいました。もちろん、僕らにとっては、女の子にフラれることはそんなに珍しいことではないのです。それでも、自分で高校から連れてきた(それも結構、押して押して連れてきた)後輩に負けるなんて、なんだか情けない限りですが、当時はそんな気持ちもすぐに消えて、さっさとお酒を飲んで、さあ次へ次へという感じでした。
なんだかいい時代ですよね。嫌いじゃないです。
そう見てくると、僕があなたに好意を持つようになったのは、結局のところ成り行きですよね。サークルにあなたが来るたびに僕の車に乗っていくようになって、一緒に音楽を聞き、なんと言うことのない話を重ねて、次第に好きだと感じるようになっていったということになるのでしょう。確かに普通に考えれば、週に2、3回も車であちらこちらに一緒に行っていたら、そういう気持ちが芽生えるのは自然なところでしょう。そもそも僕も、あなたに好意を持たなければ、そこまでコンスタントに送迎はしていなかったと思います。そうは見えないかもしれないけれど、結構あなたを送り迎えするために、自分の時間やバイトの時間は調整しました。大学の授業は喜んで飛ばしました。
それに、あなたも僕のことにちょっとは関心がなければ、そんなにいつもいつも僕の車に乗っても来ないだろうとも思っていました。別に積極的な好意ではなくとも、悪い気分ではないんじゃないかな、と。
でも、その僕の考えについていえば、多分正しくない可能性が高いと思っています。
あなたは、本当に便利だったから、そして僕の車に乗っていても間違いが起こらなさそうだったから車に乗っていたのであって、好意を持っていたから、何か発展があったらいいと思って乗っていたのではないのだろうな、と今は思っています。もちろん、本当のところはわかりません。マイナスな思いではなかったっと思います。この人と車に乗っているのは嫌だ、怖いとか、そういう思いではなかったと思います。別に僕を利用しているということではなくて、友達というのでもなくて、普通に送ってくれるから、便利だし楽だから、という感じだったのかなと。
僕が、女の子には、僕から見ればある種とても残酷なことも、普通に、平気でできるということを、多少なりとも自覚したのは、30歳も過ぎた頃で、到底この時期の僕にはそういう思いには至りませんでした。
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