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リーグワン2024-2025 :勝手に選ぶ「ベストゲーム!」

  • 執筆者の写真: いのきち
    いのきち
  • 6月19日
  • 読了時間: 11分

リーグワンが終わって1ヶ月近く。そろそろ代表戦の足音も大きくなってきます。

ということで、今一度、終わったリーグワン2024-2025の振り返りとして、リーグ戦、全108試合の中から、「この試合は凄かった!」という試合を10個、選んでみたいと思います。

個人的につけている評価の高いゲームを順に選んでいきます。異論はたくさんあるでしょうが、1つのマニアの意見としてご笑覧くださいませ。


第10位 第1節 静岡 VS 神戸


今季のこの両チームの物語の序章となる、雨中の凌ぎ合い。神戸はアタックもさることながら、昨年に比べて、明らかに良化されたディフェンスを見せ、静岡のアタックを寄せ付けない。静岡も、今季の今後を示唆するように、新戦力のテファレがファーストタッチで大激走でのトライ。


雨が激しくなり、双方、スキルと共に気力のもとめらられる最終盤、ドラマは80分過ぎの攻防で、何度も繰り返された。

静岡のモールを神戸が凌ぐ、しかし、そこに神戸の反則が。静岡が飛び込んだと思ったらグラウンディングできず、試合終了かと思ったら、神戸にハイタックルが。


そして、今思えば、これも今季のブレイクを予感させる、最後はヴェティ・トゥポゥが、ごちゃごちゃの密集の1mをわずかに潜り込んでさよならトライ。


例年スタートダッシュに苦しんだ静岡が、この勝利を皮切りに快進撃をスタートしていきます。他方で、破れたとはいえ神戸も、今年は明らかに違うディフェンスとその集中力を見せ、今季の躍進を予感させる試合になりました。


そして半年後。皮肉にも、この両チームは、4位と5位という立場で、2連戦を迎えることになるわけですね。。


第9位 第2節 埼玉 V S クボタ


思えばこの2チームも、シーズン通して3回の対戦となりました。そのいずれもが大激戦。見ているもののアドレナリンが出まくる、そんな試合でした。


年末の初戦は、埼玉が前半に20−3まで持っていった時は、やっぱり埼玉か。。。と思いきや、後半に、前半戦のクボタの代名詞となった「ボムスコット」が投入されるや、一気に3トライを奪い逆転。


70分過ぎに、フォーリーが右端から難しい角度のコンバージョンをギリギリ決めた時は、見ていてボルテージが最高潮に。


最後はクボタが不用意な反則でP Gを失い、埼玉に寄り切られ方格好でしたが、「今年のクボタは明らかに強い」ということが証明された試合でもありました。


この後2試合続く物語の、第1章、となった試合でした。


第8位 第9節 リコー V S 東芝


東芝が無限に湧くオフロードで試合をリードすれば、この日は7本のトライのうち6本をペレナラが演出。リコーが今シーズン最高のアタックを見せた試合。


本当は、内容的にはリコーが勝つべき試合でしたが、厳しいことを言えば、中楠がイージーなコンバージョンを3つも外したのに対して、松永は難しいものもしっかり決め切った。その差が1点差。。そのシーンはダイジェストにはほぼ出てきませんが、鮮明に記憶しております。

残酷ですが、中楠はこの試合以降、プレースキッカーの座をメイン平に譲ることになります。

しかし、リコーのプレースキックは中楠が蹴るべきです。キッカーには、その星のもとに生まれてきた人、というのがいます。メイン平ではないです。やはり、試合を決めるキッカーになるべきなのは中楠です。来季の捲土重来を期待したいです。


リコーは、この試合は勝たなければならなかった。スクラムで東芝を凌駕し、最高のアタックを見せた(ペレナラ頼みとは言え)。また、東芝は、シーズン序盤から中盤にかけては、ディフェンスに脆さがあって、強い時は埼玉すら寄せ付けないのに、そうでない時は、中位チームにも足元を掬われそうになるところがありました。が、そこを勝ち切っているのが、総合力、ですかね。。。


両チーム合わせて14本の極上のトライ。息もつかせぬ80分、とはまさにこの試合のことでしょう!


第7位 第1節 東芝 V S 横浜


開幕戦。横浜が最高の前半30分を見せた。田村とデ・クラークによる自在の試合コントロールに、決め手のあるアタックで試合を支配。最初の30分間は東芝に何もさせませんでした。今年の横浜は強い!そう思わせてくれました。


しかし、16点差をつけられた、そこから、東芝は、何かを吹っ切ったように、キックでテリトリーとかをやめて、自陣からガンガン攻めて攻めて攻めまくり始めました。

前半の最後の反撃のトライは、まさに自陣22mの中からの連続攻撃で、取り切ったトライ。

後半に入っても、東芝の「どこからでもアタックする」スタイルは続き、横浜から反撃の機会を奪って行きます。それでも、横浜は、今思えば4トライしか東芝に与えていない。素晴らしい立ち上がりの試合でした。


しかし、勝敗というのは酷なもの。この負けそうな試合をまくった東芝、勝つべき試合、言えば、前半30分までに30点は取るべきだった、そんな試合を落とした横浜。ここから、双方のシーズンは全く別の道を辿ることになります。


その分岐点だったように、今となれば思います。



第6位 第2節 リコー VS サントリー


ともに悔しい初戦を落とした2チーム。サントリーが優位と思われた試合で、新しいリコーがその力を証明する、劇的な試合を演じました。


攻めてはサントリーのキックへのプレッシャーから3本、しっかり崩し切って2本。サントリーから5本のトライを取りうまわる。サントリーも、少ないチャンスから、高本のキックもしっかり決まり1点差まで追い上げる。特に、この試合では、河瀬のランが目立ちました。


1点差になってからの残り15分。この時間の攻防が熱かったです。。。攻めるサントリーに対して、なんとか自陣で凌ぐ、ジャッカルやターンオーバーを繰り返すリコー。そして、ラストワンプレー。高本からのロングパスを大外で半分ずれた形で受けた河瀬の前にはあと5mだけ。トライするだけならば余裕に見えたところ。しかし、その、半ずれを諦めず、上半身に強烈なタックルを見舞い、わずかにつま先だけラインに触れさせたのが、リコーの10番の中楠。

劇的な幕切れに、年末の秩父宮のボルテージは最高潮に。


リコーは、こういう試合を勝ちきれなかったです。昨年まで。しかし、今年は何かが違う。そう予感させる勝利であったし、逆にサントリーは、これまではこういう劣勢の接戦を、最後には勝ち切ってきていました。それができなかった。去年までと違う姿を感じさせる試合でもありました。。。


第5位 第17節 埼玉 VS クボタ


埼玉がオレンジの壁をしっかり攻略すれば、クボタはFW周りの圧力で埼玉をこじ開ける。65分を超えてからのトライの1つ1つには、ラグビーの素晴らしさが詰まっていました。そして山田響。劇的なドラマでした。


しかも、これが前哨戦。


この2チームはこの後の試合も含めて、3試合合計で2点差しかついていません。本当にチーム力は互角ということでしょう。1つ1つの試合に、日替わりの劇的なシーンがあって、1つ1つがドラマでした。


この試合でいえば、やはり、78分手前、埼玉が5点リードで相手陣にいるところでの、山沢京平のDGの判断がどうだったか。もちろん、決めれば勝利を決められる3点ですが、あそこは、キープで攻め続けた方が良かったのではないか。そして、最後の山田のランの前に、山沢京平は飛ばしパスに対してインターセプトしようとして、プレトリアスをフリーにしてしまった。


どうしても、SOというポジションに対して厳しく見てしまうのですが、あの2つのプレーを、山沢京平には、是非とも噛み締めて、さらなる飛躍をしてほしいです!


山田は・・・慶應時代は苦しんだ印象ですが、このランは、報徳学園時代の、天下無双時代を思い出させました。

万能バックスで、スーパーランナーです。ぜひ、日本代表のW T B、FBを狙ってほしい!


第4位 第16節  静岡 VS 横浜


プレーオフへ後がない横浜。主力を欠き苦戦を続ける横浜が、乾坤一擲の激戦を演じました。序盤を圧倒し、後半に逆転されてからも、決して切れる事なく食らいつき、70分以降、3点差で何度もゴール前に迫った。。。


その横浜の夢を砕いたのが、テファレの90mランであり、北村の独走であり、さらには、クワッガの、一番辛いところでのジャッカルになります。

最後、80分に迫るところで、北村が一人で抜け出したところを、10mぐらい後ろから、ただ一人、ゴールラインまで追いかけた石田。この二人の走り合いは、このリーグ戦でのベストーシンの1つでは。


横浜は苦しいチーム状況の中、明らかに闘志を全面に出し、静岡を追い詰めた。特に、この試合の石田の動きは、往時の吉田、あるいは、福岡を思い出させる、「速くて、熱い」見ているものを興奮させるプレーだったと思います。。


ラグビーのスペクタクルと、物語性と、熱苦しさの詰まった素晴らしい試合でした。


第3位 第1節  トヨタ VS クボタ


巨艦トヨタの最高の試合はここだった。分厚いFW陣のプレッシャー、決め手のあるランナーたち。しっかりフィットしてきた松田。そのトヨタに対して、後半の「ボムスコット」で切り返し追い上げたクボタ。


この試合は、トヨタもディフェンスは素晴らしかった。最後の最後も、クボタの圧力を反則せずに20フェーズ近く守り切ってみせた。


ただ、クボタには、役者が残っていた。10番のフォーリーが82分に、正面とはいえ30m近いDGを選択。それを見事に決め切ってみせた。


劇的な展開、これぞ「FW戦」という圧力の高さ。そして、ワールドカップを思い出させるような、勝負どころでのDG。この試合では、クボタとトヨタの力は互角に見えた。今年のトヨタは違う、そう思えた試合だった。


しかし、周知の通り、結果的に、ここから先は、この「勝ち負け」が示唆するようなシーズンに。。クボタは、このフォーリーの足で勝ちの街道に入り(次節は埼玉に負けたけれど)、トヨタは、自分たちのラグビーを見失っていった。。もしも、フォーリーのDGが入っていなかったら、、、双方のシーズンはどうなっていたか、、


初戦から、あまりにも劇的な展開でした。


第2位 第10節  東芝 VS クボタ


鹿児島白波スタジアムは絶好の好天。噴煙わずかな桜島が見下ろす中、素晴らしいラグビーが繰り広げられた。

攻める東芝に、凌ぐクボタ、そして後半60分前後からトライの取り合いによるシーソーゲーム。最後のフォーリーのミスキック。。


1つ1つのプレーの精度が高く、それぞれのチームの強みがよく引き出された素晴らしい試合で、後半が深まるにつれて、会場全体のボルテージが上がっていく試合でした。鹿児島、いい雰囲気でした。


この試合は、基本的には東芝が優勢に進めていたと思いますが、FW周りで圧倒できないクボタの状況を打開したのが、フォーリーの手と足で、今日のタクト、キレは素晴らしかった。プレースキックも素晴らしかった。相手がモウンガ。彼の心に火が灯っていたように見えます。

そして、結末は、そのフォーリーが逆転のアタックを狙うべく蹴ったタッチキックが、まさかまさかのタッチインゴール。。勝負というのは皮肉なものです。


ただ、東芝は、この試合では、クボタに対して「アタックは通用する」という手応えを持ったはず。特に、決勝トライとなった最後のトライは、一人多い状態をきちんと生かした、綺麗なトライでした。


あとは、試合内容もさることながら、桜島が見下ろす青天の鹿児島白波スタジアム。ほぼ満員。ぜひたくさんここで試合をしてほしいな、と思いました。


第1位 第7節  東芝 VS 埼玉


埼玉の今期最高の試合はこれでしょう。そして、東芝が最も強かったのもこの試合でしょう。さらに、最後の10分は、お互いが「意地」と「プライド」をかけた肉弾戦の応酬で、この両チームの魂がぶつかり合いました。


ラグビーは、やはりプレーの質とともに「気持ち」が見るものを震わせます。東芝はもともと、そういうハートのチームですが、この試合では、最後、埼玉が剥き出しの闘志を見せ、東芝のアタックを食い止め続けました。クレバーな戦いをする埼玉の、普段では見えない部分が、「去年決勝で負けた」ことと、東芝の闘志に触れ、引き出された感じでした。


東芝は、ここまでの6戦は、正直パッとしない戦いでした。浦安に押し込まれ、静岡にはスクラムで完敗し、前節のホンダ戦でも前半は何もできていませんでした。

しかし、相手が強くなったこの日はまるで別物のチームに覚醒・・・前半は強い風上を活かすことができず、自陣に押し込まれ続け、さらに後半最初の10分に猛攻を受けながら、それでもトライを許さない、魂のディフェンスを見せました。

ラグビーには「ディフェンダーズハイ」とでもいうような時があって、いくら攻め込まれても、最後のトライラインで食い止められる、どれだけタックルしても「楽しい」。どれだけ痛い思いしても「嬉しい」と思えてしまうようなゾーンがあります。この日の後半の最初の10分は、まさに東芝は、そういう様相でした。強いチームというのは、そういう「覚醒」状態を持っているものです。

アタックでは、松永とナイカブラが無双でした。

東芝は、この試合以降、連覇にふさわしい戦いを見せてくれていきます。


埼玉は風下の前半の戦いが上手すぎて、かなりの風を受けながらも、ほぼ40分、東芝を押し込み続け、10点近いリードを作りました。東芝のディフェンスがもう少し弱かったら、前半で試合は決まっていたでしょう。後半は、風上に立ち、最初から敵陣深く入り、これは試合が決まるのかな、、と思いきや、東芝の魂のディフェンスに触れ、一気に切り返されました。

しかし、そこからがやはり埼玉。東芝のアタックに切り裂かれながらも、自分たちもそれに応酬する形でトライを取り返し続け、同点へ。そして、最後の10分。この日埼玉が見せた最後の10分は、普段のクレバーな埼玉ではなかったです。

中盤でも、猛攻を仕掛けてくる東芝に対して、裏をガラ空きにして、全員が必死にタックルをし続ける。その鬼の形相は、これまで埼玉のメンバーあまり見せるものではなかったです。そして、そのタックルにぶつかり来る東芝。

双方の「魂」がぶつかり合った10分は、ラグビーというのが、最後は「心のぶつかり合いなのだ」ということを思い出させてくれました。その心のぶつかり合いこそが、僕ら、見ている人を震わせるのだと。それこそが、野球にも、サッカーにもないものなのだと。


この試合はダイジェストを見ても伝わりません。

フルバージョンのリンクを貼りますので、是非とも。


何度見ても素晴らしい試合です。


来季も、たくさんの、見る人の心を揺さぶる試合、を楽しみにしたいです!



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